研究内容
mRNA監視機構の活性調節機構の解明
私たちの体では、ナンセンス変異(タンパク質の翻訳が途中で終わってしまう変異)が存在するmRNAを積極的に分解排除する、mRNA監視機構を有し、正常なmRNAとタンパク質の発現を保証しています。一方で、この機構はがん抗原をコードする変異mRNAや、途中まででも機能を有するタンパク質をコードする変異mRNAも分解してしまいます。私たちの研究室では、mRNA監視機構の活性が生体内で調節されるメカニズムを、特に細胞ストレスとの関係を中心に解明していきます。
ナンセンスmRNA、転写後制御を標的とした創薬
様々な生命現象・疾患においてRNA制御は大きな役割を果たしています。山下暁朗研究室では、遺伝性疾患、がん、炎症やウイルス感染の新たな治療標的の発見につながるmRNA分解・翻訳の制御機構の基礎研究に基づき、従来の薬剤では治療が困難であった様々な疾患に対する治療法の開発に取り組んでいます。
mRNA転写後制御の生命現象、疾患における役割の解明
mRNA翻訳を含む転写後制御は、mRNAに結合する様々な蛋白質により制御されています。mRNAの5’や3’非翻訳領域にはシスエレメントが存在し転写後制御の起点となっています。これまでに、5’や3’非翻訳領域には多くの蛋白質が結合することが報告されており、mRNAのキャップ構造、eIF4E-eIF4G複合体、リボソーム、ポリA鎖などを標的とし、mRNA分解、翻訳開始、翻訳伸長などの様々なステップを制御しています。さらに、翻訳がmRNA量の調節にも関わることも知られています。私たちは、様々な生命現象、疾患における転写後制御の役割の解明を目指し研究を行っています。