研究内容
mRNA監視機構の活性調節機構の解明
がんや遺伝性疾患における変異の約三分の一では早期終止コドンを生じますが、変異遺伝子由来mRNAは品質管理機構(NMD: Nonsense-mediated mRNA decay)で分解されます。わたしたちは、動物細胞において仮想的存在であった「品質管理複合体」の生化学的な実体が初期翻訳時に終止コドンで停滞したリボソーム上で形成されるSURF(SMG1-UPF1-eRF1/3)複合体と、SURF複合体がExon-junction complex(EJC)と結合することで形成される複合体(DECID: Decay-inducing complex)であることを解明しました。DECID形成によりSMG1キナーゼが活性化し、UPF1をリン酸化することで、リン酸化UPF1にmRNA分解に関わるSMG6とSMG5-SMG7複合体が結合し、変異mRNAを分解します。この成果をさらに発展させ、様々な生体ストレスによりるmRNA監視機構の活性制御機構を明らかにしつつあります。