琉球大学 大学院医学研究科 山下暁朗 研究室
山下暁朗研究室では、mRNA転写後制御をターゲットとした基礎研究と創薬開発研究を行っています。
私たちの研究室では、mRNA転写後制御機構であるmRNA監視機構の活性が生体内で調節されるメカニズムを、特に細胞ストレスとの関係を中心に理解し、新たな希少遺伝性疾患治療、がん治療法の開発につなげています。また、基礎研究で培った技術基盤を用いることで、様々な疾患の治療・予防法の開発につながる研究を展開することを目指しています。
興味のある方はメールしてください。
mail: akyama21@med.u-ryukyu.ac.jp
お知らせ
修士、博士募集中_出願期間:令和6(2024)年8月2日~9日
研究内容
近年、mRNAが転写されてから、翻訳されるまでの過程である「転写後プロセス」が、様々な生命現象のなかできわめて大きな役割を果たしていることが明らかとなり、新たな創薬標的として注目されつつあります。例えば、細胞の増殖を促進する増殖因子や、感染症に対応する炎症反応誘導因子として働くタンパク質は、その過剰な産生は、がんや炎症性疾患(例:リウマチ)の原因となります。そのため、これらの遺伝子の発現は一過性である必要があり、mRNA分解の促進や、タンパク質翻訳の抑制などの転写後プロセスにより厳密に制御されています(Nucleic Acids Res.2019)。しかし、様々な技術的問題から、転写後プロセスを標的とした創薬の成功報告は限られていました。私たちは、転写後プロセスを簡易・高精度に評価する測定法の開発に成功し、がんや炎症性疾患を含む様々な病気の治療薬開発プラットフォームの構築を進めています。
転写後プロセスの制御機構のなかで、最も解析が進んでいるものの一つが、私たちが中心となってその分子機構を解明したmRNA監視機構です(Nat Commun. 2016など)。mRNA監視機構は、タンパク質合成が途中で止まってしまう遺伝子変異を持つmRNAを監視し、積極的に分解排除します。例えば、がん細胞における遺伝子変異により生み出される「がん抗原」をコードするmRNAは、通常mRNA監視機構が分解排除しています。そこで、mRNA監視機構の阻害することで「がん抗原」の発現を誘導し、がん免疫によりがんを治療する、新しいタイプの抗がん剤の開発を行っています。