研究内容

mRNA転写後制御の生命現象、疾患における役割の解明

mRNAの翻訳制御を含む転写後制御は、発生・分化・細胞外ストレスを含む様々な生物学的状況において、遺伝子発現の正確で早急な応答メカニズムとして機能しています。実際に、動物細胞における蛋白質の存在量は、mRNA存在量(合成や分解を含む)ではなく、翻訳量と最も相関することが実験的に示されています。生体内で、mRNAはそれ自身のみで存在するわけではなく、様々なRNA結合蛋白質とmRNA-蛋白質複合体(mRNP: mRNA-protein complex)を形成しています。このRNA結合蛋白質が、mRNAの合成・分解・翻訳・局在を含むすべての遺伝子発現過程で決定的な役割を担っています。RNA結合蛋白質はmRNA上の特異的なシスエレメント(cis-acting element)に結合します。シスエレメントはAU-rich element(AUUUA)を始めとする特定の塩基配列からなるものや、ステムループなどの特定のRNA構造からなるものなどがあり、mRNA上のすべての領域に存在しえます。

多くの遺伝子において、選択的転写開始、選択的ポリA付与や選択的スプライシングにより、5’や3’非翻訳領域が異なるmRNAが発現します。この、異なる非翻訳領域がmRNAアイソフォーム特異的な遺伝子発現制御において重要な役割を果たしています。また、様々な遺伝性疾患においてポリA付与制御配列の変異やポリA付与配列を生じる変異により、正常と異なる3’非翻訳領域を生じる例が報告されています。このような場合には、異常な3’非翻訳領域が遺伝子発現に大きな影響を与えていることが予測されます。

私たちは、様々な生命現象、疾患における転写後制御の役割の解明を目指し研究を行っています。